この作品は、長編小説を映画化したという事あって、上映時間が3時間22分(10分休憩あり)もあります。
なので、時間や、体力、集中力の折り合いから、なかなか「観よう」と決心する事が出来なかったのですが、大学時代の教授が小説「沈まぬ太陽」にハマっていたのを思いだし、意を決して観にいく事が出来ました。
「沈まぬ太陽」は、実際に1985年に起きた日本航空機墜落事故(乗員乗客524名、うち死者520名、生存者4名)を題材とし、日本航空側の視点から腐敗した企業倫理、社会倫理の不条理を訴えた作品だと僕は思います。
(作品の概略はウィキペディア等を見ていただければ、更にわかるので、ここではこのぐらいにしておきます。w)
映画を見て感じた事は、大きく二つあります。
まず一つは、俳優渡辺謙さんの「表現力」
ご承知の通り「沈まぬ太陽」の主人公恩地元を演じるのは、日本が誇る、俳優渡辺謙さんです。
映画を観ながら、演技という面で他のキャストと渡辺謙さんとを比較すると、明らかに違うなと感じました。
その最大の要因は「表情の豊かさ」にあると思います。
渡辺謙さんの表情は言葉以上に、その瞬間瞬間の恩地元の感情を表しています。
なので、「今の表情は、納得していないな」「今の発言は、実は少し弱気なんじゃないかな?」という想像を観る者に抱かせてくれます。
これが俳優渡辺謙が世界的に認められが所以なんでしょうかね。
「演じるって、深いなぁ」と考えさせられました。
次に、作品の内容から、「働く」とは何なのか、「生きる」とは何なのかを考えさせられました。
作品の中で、波に逆らいながらも信念を貫き通す人間と、波に乗って利益追求の為だけに突き進む人間という、価値観の相反する人間関係が描写されています。
「企業の為に」 「金の為に」
「人の為に」 「自分の為に」
「人類の為に」 「名誉の為に」・・・
人々が社会を発展させていく事によって、この様な様々な価値観があらわれ、行き交う様になりました。
そんな社会の中で、価値観の違いから対立し、争いが生まれています。
「働く」「生きる」という、僕らにとって最も身近な事柄を、もっと追究しなければいけないと思いました・・・。
最後に、僕が最も心に残ったシーン。
映画の最後の最後に、見渡す限り地平線のアフリカの広大な大地の先に、真っ赤に燃える太陽が煌煌と輝いているカットがあります。
その、あまりにもシンプルで壮大なカットを見ていると、社会の不条理や、矛盾といったものが全て飛んでいってしまった様な気がし、しばらく目を離す事が出来ませんでした。
映像であるにもかかわらず、心から「綺麗」と感じました。
いつかは自身の目で、あの太陽を眺めたいなぁと思います。
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