
この作品は、イラクバクダットにおける、米爆弾処理犯の緊張感ある葛藤をリアルに描いた作品。
注目すべきは、あの興行成績歴代1位の映画「アバター」を抑えて、アカデミー賞6部門受賞に輝いたという事。
社会派注目度ナンバーワンの作品という事だけあって、僕も期待に胸を膨らませて鑑賞してきました。
少しだけ、感想を書きます。
まず、良かった点。
テレビでよく、「自爆テロ○○名死亡」等の報道が流れていますが、殆どの場合対した関心も無く僕たちの頭の中からは消えてしまいます。
もし、日本で起きていたら大問題なのに・・。
これは、無意識の内に”命”の相対的価値に差が生じているのだと思います。
平たく言うと、イラクで死亡する100人の”命”と、日本で死亡する100人の”命”の価値は等価では無いと、無意識の内に感じてしまっているという事。
映画「ハート・ロッカー」では現地で実際に起きている、自爆テロ、子供の死体の中に爆弾を仕込む人間爆弾などをリアルに描写し、実際に現場を見ずとも現状把握が出来るように描いてくれています。
特に、ハンディカムを多用する事によって、人の視点からの映像=リアリティを醸しだしているのが巧みでした。
次に、共感できなかった、理解に苦しんだ点。
僕の作品理解力が乏しいのが最大の原因かもしれませんが、観終わって一番に感じてしまったのが「So What?」
この作品は他の軍人に比べて5倍の死亡率と言われる爆発物処理班(EOD)に着目した映画なので、極論ではイラク戦争の是非を問う映画ではありません。
しかし、僕としては監督のイラク戦争に対する視点、主張を更にもっと聞きたかった。
何故戦争が行われ、何故多くの人々が命を失い、何故ハート・ロッカー(行きたくない場所)にあえて行かなければならない人達がいるのか・・・。
そういった類の論点があると期待していただけに、「俺達は危険を冒してまで爆弾処理に励んでいるんだ!」といった米側の一方的な主張が作品内に感じられた為、少し残念に思いました。(あくまでも個人的見解です)
終わりに
酷評もしましたが、この映画から学び、考えさせられる事は非常に多かったです。
もちろん映画なので事実が脚色されたり、情報にバイアスがかかる事は充分注意しなければなりません。
しかし、映画を通して世界中の人々がこの問題に注目する事が出来れば、それで良いと思います。
大事なのは、無関心を無くす事。
そこから新たな動きが沸々と現れるのではないでしょうか・・・。
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