![]() | 戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫) (2002/09) 三枝 匡 商品詳細を見る |
以前BCGに所属し、スタンフォード大学にてMBAを取得した著者が手掛けたとある戦略的経営プロセスを、小説風なストーリー展開で書き上げた本作。
随所に散りばめられた学びに読み終えて感動を覚えました。
本作は、経済小説では主流の史実の固有名詞を変えることによって、ほとんど現実と同じ物語を提供してくれています。
物語の主人公である広川氏は、いまいち売れ行きの良くない商品に戦略的アプローチを仕掛け、最終的には市場独占状態にまで成長させます。
その際の戦略アプローチは、以下のような順序に沿って行われたかと思います。
1.市場の現状把握
2.問題点の発見
3.改善策の提案
4.具体的実行プランの作成
5.行動&進捗管理
1.市場の現状把握
お医者様は患者さんが来院した際、必ず最初に診察&ヒアリングをします。
それは、患者さんの現状を把握し、次段階の問題点の発見精度を上げるためです。
これと全く同じ事がターンアラウンド・マネージメントをする際においても言えるのです。
2.問題点の発見
状況把握のための情報が整った後には、適切な処方箋を提供するために問題の箇所を検索します。
その際、漏れやダブりのないように3Cや4Pなどのロジカルフレームワークを用い、常にSo what?、Why so?に答えられるようなロジックツリーを立てていきます。
決して、固定観念にとらわれる事無く。
3.改善策の提案
判明した問題を解決するべく、戦略的改善策をたてます。
重要な点は、時間と資本という有限な資源がある手前、効率的に生産的に取り組める策を立てることです。
絞りと集中。
アプローチするにあたって、一番効果的なターゲットから攻撃を仕掛けるためには市場をセグメンテーションすることが必要不可欠です。
逆に言うと、どこを捨てるのかを決めるのが、主に2×2のマトリックスで表す市場セグメンテーションの役割です。
4.具体的実行プランの作成
1~3までで確立された改善策を具体的な実行プランに落とし込みます。
市場をセグメンテーションしたことによって明らかとなった最優位度のセグメントに対して、集中的に営業マンを投下することによってシェアを獲得していきます。
5.行動&進捗管理
今まで立てた戦略は、行動するためのものです。
戦略だけたて行動することが出来なければ、しょせん絵に描いた餅。
その為には、進捗管理をどのように行うかが大事になります。
特には、新規訪問アプローチの進捗状況をどのように数値化し、管理するか。
本書では、進捗状況をアルファベットでコード化していました。(未訪問:F、一回訪問:E...納品:A)
本書を通して、経営戦略がいかに効果的なのか改めて実感することが出来ました。
かのカルロス・ゴーン氏が日産を再生させたように、戦略次第でシェア拡大を図ることは可能です。
そして1番大事なのは、経営者にしろ管理職、バックオフィス、フロントオフィス関係なく、皆が経営者になったつもりで仕事に取り組むことだと思います。
それがいわゆる”プロ”なんだと思います。
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