私達の身近なところで言うと、プロスポーツ選手を思い浮かべることが容易い。
しかし、プロフェッショナルとはスポーツ選手に限った呼称ではなく、あらゆる業種において呼ばれる言葉である。
もともとプロフェッショナル(語源:プロフェス~信仰を告白する)とは、弁護士、牧師、医師の事を指した。
高い知識、技術、人格を備えていることが必須となることから、現代においては専門的知識を擁し、組織や肩書きに関係なく独立して自分の技能を機能させることの出来る人々をプロフェッショナルと呼ぶ風潮がある。
そして、ここ日本にも他が認めるプロフェッショナルがいる。
その中の1人が現日本学術会議会長の黒川 清氏であり、現一ツ橋大学院国際企業戦略研究科教授の石倉 洋子氏だ。
![]() | 世界級キャリアのつくり方―20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ (2006/05) 黒川 清、石倉 洋子 他 商品詳細を見る |
この本は、お二方の類まれなバックグラウンドを垣間見ることによって、現代求められるキャリア形成のヒントを見つける事が出来る本である。現代の風潮からか題名は何ともちんけな印象を受けるが、本物のプロフェッショナルが書いているので内容は他のHow to本とは比較にならないほど充実している。
特には、「フラット化する世界(トーマス・フリードマン著)」の中、如何にサバイバルスキルを身につけていくか考える事が出来るので、現代の若者、特には10代、20代、30代こそ読むべきだと個人的には感じる。
本書ではプロフェッショナルとして必須能力を、5つの能力で表している。
1.現場力
2.表現力
3.時感力
4.当事者力
5.直観力
1.現場力
テレビや新聞など既成のメディアで見聞きしたり、インターネットを検索したりではなく、実際に起こっていることを自分の目と耳で確かめ、そこで実際に判断することである。(P182引用)
二次情報を現実として受け止める行為は極めて危険だと思う。その情報は一度フィルタに通され、情報提供者のフレームに合わせた後にメディア媒体を通して私達の元にやってくるからだ。
現場力を磨くために本書では
・現場に行き、二次情報と一次情報の違いを確かめる。
・事象の背景を考える。
といった事を意識的に行うよう主張している。
2.表現力
表現力とは、ある事象に対して、自分はどう思うか、どう考えるか、意見に対して賛成か反対か、その理由は何かを考え、且つ相手にわかるように説明する事をさしている。
私自身、本や映画の要約をすることはあっても、自分がどう思うのかを深く突き詰めることは少ない。
自身の意見を考え、主張することを怠っていると相手の主張の核となる部分を見出すのが難しくなり、情報のシャワーをただ浴びるだけとなってしまう恐れがある。
本書では、この表現力を磨くために以下のような行いを推奨している。
・主張のある記事、本に対して自分の意見を持つ。
・映画を観たら自分の感想を見ていない人に説明する。
・講演会などでは必ず質問する。
個人的には、講演会での質問は非常に大事だと感じている。必ず質問をする為には、他の目があるので馬鹿な質問をしないように努める。そのためには、事前にスピーカーに対する情報収集、講演内容の十分な理解、未だ解決されていない問題を明快且つ論理的に質問することが求められる。
質問するという行為自体も重要な表現の一部なのだと思う。
続く
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