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"シェアリング"がもたらす"価値の変化について考える

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昨今、物や場所、時間をシェアする事業体が世界的に増えています。
この現象は、突発的な流行ではなく、資本主義の発展が導いた解だと私は考えています。

世界的に注目を浴びている"シェアリングエコノミー"。今や、次世代型の社会の形態ではないかと囁かれる"シェアリングエコノミー"は、家や車、労力、時間、権利など、これまで"所有"してきた資源を効率的かつ効果的にシェアする仕組みを世の中的に形成しつつあります。

その最たるものが、もはや世界的サービスとなりつつあるAirbnb(家のシェアリング)やUber(ドライバーのシェアリング)です。そして、近年流行のシェアリングサービスの構造は、市場や業態は違えど、本質的なメソッドは酷似しています。

野口悠紀雄先生の記事を引用して説明いたします。まず最初にAirbnb。


シェアリングサービスの構造1
(出展:http://diamond.jp/articles/-/75769)

例えば、Airbnbに至るまでの構造変化は、上の図のように(A)個が所有していた別荘が、(B)会員制リゾートして細分化され資産・権利をシェアする形態に移行しました。いわば"利用のシェア"です。次に、(C)専門的供給者が提供するホテルの形態が生まれ、(D)遂には個人が供給者としてシェアをし、同時に個人が需要者を担う現在の形態へと進化を果たしました。

次に、Uber。

シェアリングサービスの構造2
(出展:http://diamond.jp/articles/-/75769?page=2)

Airbnb同様に、(A)個人が所有する自家用車が(B)レンタルという"利用のシェア"形態に移行をし、(C)専門的に供給するタクシーという形態が一般化した結果、現在の(D)個人の供給者が個人の需要者に対して提供する形態に進化しました。

このようにして並列的に観察してみると、シェアリングサービスに見られる進化のプロセスは、効率性と効果性を追求した結果辿り着く妥当性の高いプロセスだと見受けられます。

しかし、ここで一つ疑問が。

大量生産、大量消費を通じて発展を遂げてきた資本主義の構造上、シェアを通じて絶対消費量が減少するリスクを構造的に抱えてるシェアリングエコノミーは、果たして実現し得るのか。

要は、今まで5人に5つ必要とされていた車が、5人が1台をシェアするようになれば、売上1/5に減るじゃん!?ということ。

そう、当たり前に考えて現在急速的に浸透しつつあるシェアリングサービスのほとんどは、既存プレイヤーにとってはパイを減少させるリスクが存在するため、資本主義の構造上は淘汰される"はず"なのです。

しかしながら、ホテル業界に殴り込みをかけてきたAirbnbの時価総額は今や3兆円前後と言われています。

では、なぜ資本主義の構造上逆行する要素を持つシェアリングサービスがここまでも脚光を浴びるのか?

それは、市場が人々が感じる"価値の変化"を感じているからだと私は考えています。
そして、"価値の変化"の要因は"小さな飢え"の改善(最低限生きていくための生活水準の意)"と小さな情報格差"の是正(資本家サイドと労働者サイドの格差の意)によってもたらされたと考えています。

要は、飢餓がなくなるような経済水準を満たされれば人は幸せだという考えのもと、GDPを軸とした経済成長、というよりは資本収益率に傾倒した数字目標を追い求めるべく各国競い合わせてきましたが、フランスの経済学者ピケティが警鐘を鳴らすように近年格差は増大し、膨大に膨れ上がった資本は投機へと走り、実体のない経済成長、バブルが至る所で生まれては弾けるようになりました。
インターネットや携帯、パソコンといったインフラを通じて情報にアクセスすることが可能となり、穀物や飲料が科学的に生産される現代において、"小さな飢え"と"小さな情報格差"の改善は、過去植えつけられてきた社会の幻想を吹き消し、市場が持つ"価値観"に変容を及ばしたのではないか、その結果、資本主義とは逆行する"シェアリング"が市場に受け入れられているのではないかと思うわけです。


シェアリングエコノミーが一般化した社会において、人々が大事にする"価値"とは、一体なんなのか?それは、もしかすると名の通り"共有"、"共創"なのかもしれませんね。

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Author:姜 大成
姜 大成 / Daesong kang Age:28
株式会社Growther 代表取締役
マーケティング専門家にいつでも相談できる相談型クラウドサービス"Bizlink" : http://bizlink.io/
Growther HP : http://growther.co.jp/
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コメント

シェアリングサービスって
シェアリングサービスは「個人への信頼」が保証されるようになってきたことがキモですよね。
極端に言えばFacebookによる「実名ログイン」が産んだビジネスかもしれません。

【提供者メリット】
個人の空いた時間、空いた場所でカネが稼げる。穴埋め。

【購入者のメリット】
企業から仕入れる(体験する)よりも安い。

ITサービスのビジネスモデルは"より安価"か"課題解決型"か"エンタメ型"の3種に分けられる。
"より安価"というのはイチバンシンプルで、ユーザーから喜ばれますね。
流行ってるシェアリングサービスはどれも" より安価"。
  • 2015-10-14│15:08 |
  • Jana URL│
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プロフィール

姜 大成

Author:姜 大成
姜 大成 / Daesong kang 1987年生まれ
株式会社ビズリンク 代表取締役
ITプロ人材のマッチングプラットフォーム"Bizlink" : http://bizlink.io/
株式会社ビズリンク HP : http://growther.co.jp/
未来の働く"あたりまえ"を創る
売上100億の会社を100個つくる

大学に入るまで一冊も本を読了したことが無いほどの勉強嫌いから、不治の病にかかり入院生活を送った経験、家業の突然の衰退をキッカケに一転して勉学に目覚め、大学時代には3ヶ月間独学で「宅建」を取得し、年間一大行事の論文大会では大学創立以来初の年間3回論文賞受賞を達成。

大学卒業後、某銀行に入社。その間、リーマンショックの煽りを受け、父親の経営する会社が倒産をし、日中は銀行員として融資先の借金返済を迫り、自宅に帰ると借金取りに自宅を囲われる生活を送る。その際に家族が殆どの財産を失う経験をし、銀行の機能では中小企業を救えないことを身をもって経験。

中小企業の倒産をアドバイザーという立ち位置で救いたい一心で、人材大手インテリジェンスの顧問事業立ち上げに営業兼コンサルタントとして参画。年間200社の経営者を新規訪問し、経営改善をするため顧問の活用を提案。入社4ヶ月目には初のトップセールス→2年目後半からは売上トップを維持→最年少リーダー兼ボードメンバーへの参画を担う。インテリジェンス社員5,000名強の内、トップ20名のみが参加可能な海外研修にも選抜。

2015年5月にインテリジェンスを退職し、株式会社Growtherを創業。2019年株式会社ビズリンクに社名変更

生まれた世代所得によって人生のほとんどが決まってしまう世界から、所得に関係なく機会をつかめる世界、本当の成長を喜び、幸せに感じられる社会を目指して、事業を推進しております。

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